

11年間ロックされた6000万円のビットコインを、AIが救い出した
パスワードを忘れて開けなくなった暗号資産ウォレット。専門業者も・GPU総当たりも歯が立たなかった。解決の糸口は「AIへの断片情報の提供」だった。

目次
背景これまでの回収手段はすべて失敗していた
Xユーザー「cprkrn」は2015年以来、自分のビットコインウォレットにアクセスできない状態が続いていた。試みた手段は以下のとおりだ。
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GPU総当たり攻撃
高性能GPUを使ったブルートフォース。膨大な計算でパスワードを推測しようとしたが、無効だった。
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専用復旧ツール(btcrecover)
オープンソースの暗号資産ウォレット復旧ソフトを使用。既知の不具合で機能せず。
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専門データ復旧サービス
プロに依頼。成功報酬型で回収額の20%程度が手数料。しかしこちらも回収には至らなかった。
解決AIが果たした役割——「暗号解読」ではなく「情報整理」
本人がClaudeに提供したのは、古いパソコンのバックアップデータと、ノートに断片的に書き残されていた復元フレーズだった。AIが行ったのは次の3つだ。
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見落とされていた古いウォレットファイルの発見
大量の非構造化データの中から、パスワード変更前の旧ウォレットファイルを特定。本人が気づいていなかった。
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復旧ソフトの不具合を特定・修正
btcrecoverに存在したバグを診断し、問題のある箇所を修正した。
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独自の復号ロジックを生成
パスワードと共有キーが連結された特殊な暗号化構造を解析し、秘密鍵の復号に成功。ブロックチェーン上でも2015年以来初めての資金移動が確認された。
ポイント
活用ヒントこの事例から読み取れる「AIの使いどころ」
この話は暗号資産に限った話ではない。「情報はあるのに整理できていない」「ツールの不具合で詰まっている」——そんな場面に応用できる考え方がある。
AIが力を発揮しやすい状況
- 断片的なデータや記録はあるが、つながりを見つけられていない
- 既存ツールやスクリプトが動かない原因を特定したい
- 大量のファイルや文章から特定の情報を探したい
- エラーの構造や暗号化の仕組みを論理的に解析したい
限界も知っておく
手がかりが何もない状態(バックアップなし・フレーズなし)ではAIも無力。今回成功したのは「断片的でも情報が残っていた」からこそだ。
セキュリティ上の注意
ウォレットファイルやシードフレーズなどの機密情報を、クラウド型AIにそのままアップロードすることには情報漏洩リスクがある。セキュリティ専門家は強く警告している。扱い方には慎重な判断が必要だ。
出典:ビジネス+IT(SBビジネスメディア)掲載記事をもとに再構成
